【生物基礎】光合成と呼吸を通して生体内でのエネルギー変換を学ぶ【授業実践備忘録】

対象

高校1年生
クラスによって25〜39人というように人数に幅がある。

生徒観

正直なところ学力はあまり高くはないが、授業に対しては前向きに取り組んでいる。
授業では挙手により積極的に発言したり、活発に話し合いをしている。

教材

教科書と自作の授業プリント(ワークシートと知識の整理を兼用している)

A.呼吸

発問

呼吸とエネルギー変換について学ぶ前に、生徒に「呼吸の定義について説明してください」と発問し、中学校までで学んでいることの確認を行った。

生徒の回答

どのクラスでも「酸素を吸って、二酸化炭素を吐き出す」という回答であった。

解説と板書

酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すという過程は外呼吸と呼ばれる。
では、酸素を吸ったのに、炭素がついて吐き出されているのはなぜだろうか?
それは、栄養分に含まれている炭素が、細胞で化学反応して酸素と結びついたからである。
食べ物から得た栄養分は細胞の中に吸収されるが、酸素と化学反応をしてエネルギーを生み出し、副産物として二酸化炭素と水を出す。
これを細胞呼吸といい、呼吸の本当の意義であると解説した。
その中で、栄養分から得たエネルギーはATPとして蓄えられ、必要に応じて使われることを説明・板書した。

B.光合成

発問

光合成とエネルギー変換について学ぶ前に、生徒に「光合成の定義について説明してください」と発問し、中学校までで学んでいることの確認を行った。

生徒の回答

どのクラスでも「二酸化炭素を吸って、酸素を吐き出す」という回答であった。

解説と板書

光合成は二酸化炭素を取り込んで、有機物を合成するのが本来の意義であるが、2段階の反応がある。
第1段階として光エネルギーを使ってADPからATPが合成される。
またこの際、水も反応に使われ、副産物として酸素が放出される。
実際の授業では「光が当たってATPにエネルギーを「充電」しているんだから、太陽光発電と一緒だろう?」と冗談半分で説明したが、納得する生徒が意外に多かった。
第2段階として、合成したATPのエネルギーを使って二酸化炭素から有機物が合成される。
有機物は主にデンプンであるが、クラスによって同化デンプン・転流・貯蔵デンプンについても触れた。

授業実践の振り返り・反省

呼吸が先か?光合成が先か?

教科書会社によって、呼吸と光合成のどちらが先に示されているかは違っています。
私が勤めている学校では、光合成が先に示されていましたが、呼吸の方がシンプルに解説しやすく、生徒にとっては身近だと思ったので、呼吸を先に解説しました。
食物連鎖のことを考えると光合成を先に説明する方がよいのかもしれませんが、大きな違いはないと思います。

呼吸の板書

上に示した呼吸のしくみの図解について、知人の専門家の方にご覧頂いたところ、実際の糖(グルコース)の酸化では水が使われているということがわかるように図示できないか?というご指摘をいただきました。
実際、酸素を使わずに糖を酸化させてエネルギーを得る嫌気性菌という微生物も存在しています。
そういった事も踏まえ反省し、今後授業をする際は、下のように板書をするのがよいのではと考えています。

コメント&お問い合わせ承ります

この記事に関しまして何かご意見・ご質問・ご感想などがございましたら、当社サイトの右上にありますお問い合わせフォームよりコメントをお寄せください。
皆様のコメントは、この記事をご覧になっている先生方や、私自身にとってもこれからの授業づくりに有益になるものと思います。

また、この記事をご覧になっている高校理科の先生方の中には、こんなお悩みを抱えていらっしゃいませんか?

  • これまでの授業で生徒の反応が思うように得られなかった。
  • これからの授業で何をどう教えたらいいのかわからない。
  • 教科横断型あるいは探究的な学びを授業で取り入れたい。

そんな先生方のために、高校理科の授業づくりやスケジューリングの支援事業を行っています。

この記事に関するコメントも含め、理科の授業や、お仕事のスケジューリングなどでお悩みなどがございましたら、ぜひお話をお聴かせください。
どんな些細なことでも構いませんので、当社サイトの右上にありますお問い合わせフォームよりコメントをお寄せください。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

文責:滝沢