【化学基礎】酸と塩基の定義【授業実践備忘録】
2025年に入っても授業実践備忘録は投稿し続けます。
今回は化学基礎で扱う酸と塩基の定義ついてつらつらと。
酸と塩基の単元では様々な酸・塩基を陽イオン・陰イオンに分けて、その性質について考えます。
しかし、生徒にとってはこれがややこしいと感じ、化学を学ぶ上でハードルになっているようです。
酸と塩基の特徴
酸性・中性・アルカリ性については小学校・中学校で既に学んでいます。
私の授業においては酸と塩基の導入の際、これまでに学んできた特徴について、生徒から意見として引き出しています。
特にリトマス紙とBTB溶液の反応について、何色から何色に変化するかということで、生徒間で盛り上がっていました。
ちなみに、生物基礎を同時あるいは以前の学年で履修している生徒を対象に授業した場合、DNAの塩基と勘違いをする場合があるようです。
それもあって、高校ではアルカリよりも塩基という言葉を使うことに違和感をもつ生徒も少なくありません。
アレニウスの定義
まず、酸については塩化水素(水溶液は塩酸)・硫酸・酢酸を例に、化学式を板書しました。
その後、生徒に3つの化学式の共通点は何かと発問し、「H」が含まれているという意見を引き出しました。
その後、水に溶けたら水素イオンと陰イオンに電離する式を板書しました。
(これは後の単元で扱いますが)水に溶けて塩化水素と硫酸については完全に電離するので、「完全電離」と表記しました。
しかし、酢酸については水に溶かした瞬間に完全に電離しますが、一部はもとの酢酸としてくっついてしまうので、「一部電離」と表記しました。
次に、塩基については、水酸化ナトリウムと水酸化カルシウムの化学式だけを板書しました。
その後、この2つの化学式の共通点は何かという発問を生徒に行い、「OH」が含まれている答えを引き出しました。
その後、水酸化ナトリウムと水酸化カルシウムが水に溶けて電離すると、水酸化物イオンと陽イオンを出すことを板書しました。
更に続いて、アンモニアの化学式を生徒とともに確認した後板書し、化学式に「OH」がないことに生徒に気づいてもらいました。
アンモニアが水に溶けると、溶媒の水分子から水素イオンを強奪し、無理やり水酸化物イオンを放出するしくみを板書しました。
ここまで説明を終えた後、アレニウスの定義としてまとめました。
ただし、水素イオンの本当の正体は裸の陽子であって、単独では存在できません。
本当は水素イオンは水分子と配位結合したオキソニウムイオン(H₃O⁺)であることも注意しておかなければなりません。
ブレンステッド・ローリーの定義
このアンモニアの反応については、塩基というのは反応する相手から水素イオンをもらう働きがあるとも捉えることができます。
そうすると、元来中性である水分子が水素イオンを与える酸の働きをすることになります。
一方、酸である塩化水素が電離すると、水分子に水素イオンを与え、オキソニウムイオンを生成します。
またこのとき、水分子は水素イオンを受け取る塩基の働きをします。
こういう見方からすると、酸は水素イオンを放出する物質であるということがわかります。
このような水素イオンのキャッチボールによって酸・塩基を定義したものがブレンステッド・ローリーの定義と呼ばれます。
授業実践の振り返り
私が担当しているクラスの化学基礎の授業は週2時間でした。
1学期でイオンについては扱っていましたが、この単元に入ると、イオンがどんなものかすっかり忘れてしまっていたという生徒も見かけられました。
それもあってか、またイオンのでき方やイオン式から説明しなければならなかったと思っています。
実際はスケジュールの都合でそこまでできませんでしたが、この単元に入った際、教科書でイオン式とイオン名について示されているページを何回もこまめに確認し、イオン式を生徒の頭の中に定着してもらう活動は必要になると思います。
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文責:滝沢