【生物基礎】恒常性と体液〜ヒトの体はちくわと一緒?!〜【授業実践備忘録】
久々の授業実践備忘録の投稿です。
私の勤務校では夏休み明けから、生物基礎の授業でヒトの体内環境を扱っています。
今回は、体内環境・恒常性・体液の捉え方をテーマに、授業実践についてまとめます。
対象
高校1年生
クラスによって25〜39人というように人数に幅があります。
生徒観
生徒たちの学力は平均以下かもしれませんが、授業に対する姿勢は非常に前向きです。
授業中には手を挙げて積極的に発言したり、活発に話し合いを行っています。
教材
教科書と自作の授業プリント(ワークシートと知識の整理を兼用)
A. 体外環境と体内環境
ヒトは外気温が高くても低くても、約36℃という一定の体温を維持します。
中学校の理科でこうした動物を「恒温動物」、その反対を「変温動物」と学んでいることを確認しました。
その上で、「なぜヒトは一定の体温を維持できるのか」という問いを投げかけ、生徒に考える時間を設けましたが、多くの生徒が戸惑っている様子でした。その理由の一つとして、水分=体液があることを私から説明しました。
次に、ヒトの体の断面図を簡単に示し、外部と直接触れている細胞とそうでない細胞を色分けして図示しました。
その際、「ヒトの体は、消化管という管が口から肛門まで通っているため、食べ物に例えると『ちくわ』のような構造をしている」と説明すると、生徒たちは驚いた様子でしたが、最終的には納得し、体外環境と体内環境の理解につながったようです。
外部とは直接触れていない体内の細胞の周りが体液で満たされていることを示し、体表面の外側を「体外環境」、体内の細胞の周り、すなわち体液を「体内環境」と呼ぶことを説明しました。
また、消化管や肺の内側などは外部と直接接触しているため、体外環境に含まれることを強調しました。
そして、体内環境を一定に保つことを「恒常性(ホメオスタシス)」と呼ぶことも説明しました。
高校の生物で学ぶ範囲に限定して、体内環境を維持する具体例として、次の3つを挙げました。
- 体温の維持
- 体液中の成分濃度の維持
- 病気から身を守る
B.体液の種類
体液には多くの種類がありますが、恒常性を理解する上で重要なものとして「血液」「組織液」「リンパ液」を図で示し、説明しました。
ただし、「組織」の定義を理解していない生徒が多いと感じたため、同じ役割を持つ細胞の集まりを「組織」と呼ぶことを明確に説明しました。
教科書によっては、組織の定義が十分に説明されていないものもあります。
また、血液の成分として「赤血球」「白血球」「血小板」「血しょう(血漿)」があることを生徒と確認し、特に「血小板」と「血しょう」の漢字が異なることを説明しました。
授業実践の振り返り・反省
今回の記事で扱った内容は、実際の授業で約25分かかりました。
使用している教科書によって、この後に扱うテーマが異なるため、それについては別の記事で綴る予定です。
アニメ『はたらく細胞』の影響
最近では、どのクラスでも半数から3分の1の生徒が『はたらく細胞』というマンガ・アニメを視聴しています。
このアニメでは、赤血球や白血球、血小板などの細胞が擬人化され、ヒトの体内で起こる現象を巧みにストーリー化しています。
実は、夏休み前の授業でこのアニメのある一話を生徒と視聴したことがあり、血液について授業をした際には生徒の興味が非常に高まりました。
血管・リンパ管も細胞でできている
あるクラスで、授業中に血管とリンパ管を破線で示しました。その板書を専門家の知人がご覧になった際、「血管は血管細胞からできているため、細胞がつながっているように表現してほしい」との指摘を受けました。
そこで、授業では血管とリンパ管についても細胞からできていることがわかるように、楕円形を並べた形でそれぞれ示すように改善しました。
コメント&お問い合わせ承ります
この記事に関しまして何かご意見・ご質問・ご感想などがございましたら、当社サイトの右上にありますお問い合わせフォームよりコメントをお寄せください。
皆様のコメントは、この記事をご覧になっている先生方や、私自身にとってもこれからの授業づくりに有益になるものと思います。
また、この記事をご覧になっている高校理科の先生方の中には、こんなお悩みを抱えていらっしゃいませんか?
- これまでの授業で生徒の反応が思うように得られなかった。
- これからの授業で何をどう教えたらいいのかわからない。
- 教科横断型あるいは探究的な学びを授業で取り入れたい。
そんな先生方のために、高校理科の授業づくりやスケジューリングの支援事業を行っています。
この記事に関するコメントも含め、理科の授業や、お仕事のスケジューリングなどでお悩みなどがございましたら、ぜひお話をお聴かせください。
どんな些細なことでも構いませんので、当社サイトの右上にありますお問い合わせフォームよりコメントをお寄せください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
文責:滝沢