【ブログでわかるサイエンス】#4 血液型は免疫反応で決まる?!【生物学】

これまでのブログでは、体の中で病原体と戦う「免疫」のしくみについて紹介してきました。
実は、この免疫反応は 血液型の判定 にも応用されていることをご存じでしょうか?

今回は、免疫の知識をもとに、ABO式血液型がどのように決まるのかを、なるべくやさしく解説していきます。

血液型を決める赤血球の「目印」と抗体

ABO式血液型は、赤血球の表面に並んでいる
糖鎖(とうさ)という“目印”の形 で決まります。

◆糖鎖(=凝集原)

  • A型の糖鎖 → A抗原

  • B型の糖鎖 → B抗原

一方、血しょう(血液の液体部分)には、この糖鎖を認識して、特定の血液型の赤血球だけを集めて固める抗体(=凝集素) が存在しています。

◆ 抗体(=凝集素)

  • A抗原をもつ赤血球を固める → α(抗A抗体)

  • B抗原をもつ赤血球を固める → β(抗B抗体)

赤血球の糖鎖(抗原)と抗体が結びついて赤血球が集まる反応は、前回のブログで扱った 抗原抗体反応そのもの です。

血液型はどうやって判定しているの?

ABO式血液型の4タイプは、それぞれ赤血球の糖鎖(A抗原・B抗原)血しょう中の抗体(抗A抗体・抗B抗体)の組み合わせで決まります。

※O型の「O」は “0(ゼロ)=抗原なし” に由来します。

◆判定方法

血液型を判定するときは、赤血球に抗体を加えて凝集(固まるかどうか)を見る という、とてもシンプルな方法が使われます。

例えばこんな感じ。

  • 抗A抗体(α)を加えて赤血球が固まった → A抗原がある → A型かAB型

  • 抗B抗体(β)を加えて固まった → B抗原がある → B型かAB型

A抗原・B抗原の有無を2種類の抗体で調べることで、A・B・AB・O の4つの血液型を判定することができます。

なぜ抗体が「自分と同じ血液型」を攻撃しないの?

ここが少し不思議に思われるところかもしれません。
ポイントは、自分の体の赤血球に存在する糖鎖(抗原)と同じものに対する抗体は、最初から作られないという免疫の“お約束(免疫寛容)”があるからです。

  • A型の人 → A抗原は「自分の目印」なので攻撃しない → 抗A抗体は作られない

  • B型の人 → B抗原に対する抗体は作られない

  • AB型 → AもBも攻撃しない → 抗体なし

  • O型 → どちらの抗原も「自分にない」 → 抗A抗体、抗B抗体を両方持つ

つまり、“自分にない抗原”に対する抗体だけが作られる。
これが免疫のうまい仕組みなのです。

今日の問い

あなたの血液型には、どんな免疫の特徴が隠れているでしょうか?
(A型=慎重、B型=マイペース⋯という性格占いではなく、純粋な科学の視点で!)

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