【ブログでわかるサイエンス】#5 肝臓は人体の“化学工場”【生物学】

この記事を書いているのは2025年12月。
忘年会・クリスマスパーティーなど、いよいよ宴会シーズンが始まります。
楽しいひとときですが、つい食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、一番負担を受けるのが「肝臓」 です。
今日は、体の中で日々フル稼働している肝臓が、食べ物をどう処理し、どうやって私たちの健康を支えているのかを見ていきましょう。

食べ物はまずどうなるのか?

食べ物には「三大栄養素」が含まれています。

◆炭水化物 → ブドウ糖(グルコース)

◆タンパク質 → アミノ酸

◆脂質 → 脂肪酸+モノグリセリド

消化管で分解されたこれらの栄養分は、小腸で吸収され、まず 肝門脈(かんもんみゃく) という血管を通り、肝臓へ運ばれます。
(※脂質の一部はリンパ管経由で運ばれるルートもありますが、今回は大枠の理解を優先して説明しています。)

肝臓の構造と交通ルート

肝臓は人体の中で最も大きい臓器で、胃の右上あたりにあります。
ここには3つの血管と、胆汁を流す管が繋がっています。

◆肝動脈 … 心臓から酸素を運ぶ

◆肝門脈 … 消化管で吸収した栄養を運ぶ

◆肝静脈 … 処理済みの血液を心臓へ戻す

◆胆管/胆のう … 胆汁を溜め、消化管へ送り出す

これらが複雑につながることで、栄養の受け取り・加工・出荷がスムーズに行われています。

肝臓はまさに「化学工場」

肝臓では、次のような多彩な化学反応が行われています。

① 血糖濃度の調整(グリコーゲンの合成と分解)

  • 血糖値が高い → グルコースをグリコーゲンにして貯蔵

  • 血糖値が低い → グリコーゲンを分解してグルコースを補給

② 血しょうタンパク質の合成

アルブミンや凝固因子など、生命維持に必須のタンパク質を作ります。

③ アンモニアの解毒(尿素回路)

アミノ酸の代謝でできる毒性の強いアンモニアを、無害な尿素に変換して体外へ排出できる形にします。

④ 古くなった赤血球の処理

ヘモグロビンを分解し、鉄イオンを再利用し、ビリルビンを胆汁として排出します。

⑤ アルコール・薬物などの解毒

肝臓に入ったアルコールは、アセトアルデヒド → 酢酸へと分解されます。
アセトアルデヒドは毒性が強く、これが“二日酔い”の原因です。

こうした化学反応はすべてエネルギーを生み、その熱によって体温維持にも貢献しています。

飲み過ぎ・食べ過ぎが危険な理由

私自身も耳が痛い話ですが⋯
アルコールも脂質も糖質も、最終処理はすべて肝臓です。
特にアルコールの分解には大量の酵素とエネルギーが必要で、肝臓は休まずフル稼働することになります。
宴会シーズンだからこそ、身体に優しいペースで楽しむことが大切です。(と、自分に言い聞かせています:笑)

今日の問い

肝臓に負担をかけないために、あなたができる工夫は何ですか?
(例:飲む量を決めておく、食事の最初に水を飲む、空腹で飲まない⋯など)

質問募集中

「ブログでわかるサイエンス」シリーズでは、皆様の疑問をテーマにして記事を制作しています。
お気軽にどうぞ!

お問い合わせフォーム

#肝臓 #肝臓の働き #消化と吸収 #解毒作用 #健康 #科学 #理科 #サイエンス #理科教育 #科学教育 #サイエンス #大人の学び #学び直し #生物 #生物基礎 #生物学