【ブログでわかるサイエンス】#6 気候をも左右する水の状態変化【化学/物理学/地球科学】
この記事を書いているのは2025年12月。
名古屋でも今月初めに「初雪」が観測されました。
ところで、なぜ、雨が降ったり雪が降ったりするのでしょうか?
そのカギを握っているのが、水の状態変化。
水は気温や気圧(大気の圧力)の変化によって、液体→気体→固体と姿を変えながら、私たちの暮らす気候にも大きく関わっています。
今日は、水の状態変化を「粒子の動き」というミクロな視点から眺めてみましょう。
物質の三態と状態変化
水は普段は「液体」ですが、冷やせば「固体(氷)」になり、温めれば「気体(水蒸気)」になります。
この 固体・液体・気体 をまとめて物質の三態 と呼びます。
そして、見た目は変わっても“水という物質そのもの”は同じ。
このように、物質の性質は変えずに姿だけが変わる現象を状態変化 といいます。

状態変化は6種類ある
状態変化は、実は6つに分類できます。
-
融解(固体 → 液体)
例:氷がとけて水になる -
凝固(液体 → 固体)
例:水が凍って氷になる -
蒸発(液体 → 気体)
例:コップの水を放置すると減る -
凝縮(気体 → 液体)
例:寒い日に窓がくもる -
昇華(固体 → 気体)
例:ドライアイスが気体(二酸化炭素)になって消える -
凝華(気体 → 固体)
例:冷凍庫の霜ができる
水一つとっても、ここまで多彩に姿を変えられるわけです。
(ドライアイスは別の物質ですが)

物質の三態は何で決まる?
三態を決めるのは、大きく分けて2つ。
● マクロ(見た目)
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温度
-
圧力
→ 実際の天気や気候はこれらが大きく関係します。
● ミクロ(粒子の世界)
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熱運動の強さ(粒子の動きの激しさ)
-
粒子間の引力(粒子同士のくっつく力)
状態が固体 → 液体 → 気体と変化するほど、粒子の熱運動は 激しくなる、粒子間の引力は 弱くなるという特徴があります。
板書の図ともぴったり対応しますね。

蒸発と沸騰はどう違う?
意外と混同されがちなこの2つ。
◆蒸発
-
液体の 表面の粒子 だけが気体になる
-
温度が高くなくても起こる
(例:洗濯物が乾く)
◆沸騰
-
液体 内部の粒子 が一気に気体になる
-
一定の温度(沸点)で起こる
例えば水を加熱し始めると、小さな泡が出てきますが、これは「水に溶けていた空気」が抜けただけ。
やがて内部から大きな泡が出るようになったら、それが 沸騰 のサインです。

今日の問い
次の2つは、どんな状態変化が関わっているでしょうか?
-
高野豆腐はどのようにしてできる?
ヒント:冬の気温・気圧も関係。 -
アイスクリームはどのように溶けていく?
粒子の運動と温度の関係で考えてみましょう。
ぜひ身近な現象を、状態変化の視点で説明してみてください。
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▼今回の記事に関連するアーカイブはこちら
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