【生物基礎】遺伝の基礎をあなどるなかれ【授業実践備忘録】

対象

高校1年生
クラスによって25〜39人というように人数に幅がある。

生徒観

正直なところ学力はあまり高くはないが、授業に対しては前向きに取り組んでいる。
授業では挙手により積極的に発言したり、活発に話し合いをしている。

教材

教科書と自作の授業プリント(ワークシートと知識の整理を兼用している)

A.メンデルの実験

ワーク

19世紀にオーストリアのメンデルは、次のような実験を行った。

先祖代々しわ形の種子をつくるエンドウの花粉を、先祖代々丸形の種子をつくるエンドウの花に受粉させた。こうしてできた種子はすべて丸形になった。
こうしてできた丸形の種子を育て、同じ花の中で受粉させたら、丸形としわ形の両方が現れた

[設問]

1.上の文中の太字で示した「丸形」と「しわ形」は、何対何の比で現れたか。

2.なぜ1.のようなことになったのか説明してみましょう。必要であれば図を使ってもよい。

生徒の意見

設問1において、「丸形としわ形が3:1で現れる」ということは、多くの生徒が覚えていた。
設問2については、各クラスから代表の生徒1〜2名に前に出てもらい、板書を使って解説のプレゼンをしてもらった。
丸い種子をつくる遺伝子を顕性遺伝子「A」、しわ形の種子をつくる遺伝子を潜性遺伝子「a」で表し、その流れを示すことはできたが、染色体の動きについては説明がなく、流れを暗記していた印象があった。

簡単に解説

このワークでは、丸い種子・しわ形の種子といった形質が、遺伝子を通じて次世代に伝わることを振り返った。

B.遺伝子と染色体

遺伝子と染色体の関係について、1902年に提唱された染色体説について説明をした。

  1. 遺伝子は染色体に含まれる。
  2. からだを作る細胞(=体細胞)は両親から1組ずつ与えられた、2組の同じ形の染色体(=相同染色体)が存在する。
  3. 卵や精子をつくるときは減数分裂をし、染色体の数が半減する。

ヒトの場合、体細胞に合計46本の染色体があり、相同染色体23組で構成されている。

これをもとに、染色体と遺伝子を関連づけて先述のメンデルの実験について解説をした。

ここで、丸い種子は「でしゃばりな」顕性形質、しわの種子は「控えめな」潜性形質であると説明を行った。

C.遺伝に関する用語

遺伝の分野では覚えるべき語句が多く、そのため苦手意識をもつ生徒もいる。
実際の授業では、電化製品の本体と取扱説明書を例にしたり、染色体・DNA・遺伝子の関係を示す階層図を用いながら説明を行った。

授業実践の振り返り・反省

現在の高校の教科書では、遺伝現象を物質的に扱う関係からか、メンデルの遺伝の法則が記されているものといないものがあります。
これは、中学校で既に完全に理解していることを前提にしているとも考えられますが、遺伝現象を理解する上で、メンデルの遺伝の法則を復習することは重要だと思います。
「丸い種子」「しわの種子」といった形質は、それぞれの種子をつくる酵素(タンパク質)によるものですが、その酵素も遺伝子の産物=形質のもとになります。
メンデルの遺伝の法則にも触れた上で高校の教科書の内容に入ると、なぜ遺伝子が形質をつくるのかが理解しやすくなるのではないでしょうか。

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文責:滝沢