【生物基礎】DNAを通して自分自身を知る【授業実践備忘録】

現在の高校生物の教育課程は、DNA・RNA・タンパク質といった分子から遺伝現象を分子生物学的に考察する構成となっています。
学生時代、私もDNAの構造について学びましたが、当時の理解は浅く、自身とは無関係のように感じていました。
この記事を読む先生方の中にも、生徒たちが同じように感じているかもしれませんね。
しかし、DNAは形質を形作る基盤、つまりは自分自身の体を形成する設計図です。
この記事では、DNAについて自分自身との関連づけを促す私の授業方法を共有致します。

導入

生徒に「たった一つの細胞からどのようにして一つの体が形成されるのか?」と問いかけ、関心を引きました。
DNAが含む遺伝子が体を構築する設計図であること、そしてDNAを学ぶことが自己理解に繋がることを説明しました。

復習

DNAの構造を学ぶ前に、中学校で習った遺伝の基本を復習しました。
この際、DNA・遺伝子・遺伝情報という用語を再説明し、DNA=遺伝子そのものという誤解を解くために復習を重ねました。

また、本を例にとり、以下のように補足説明しました。

  • 本をつくる材質の紙=DNA
  • 本の中で小分けされた章=遺伝子
  • 本の中の文字=遺伝情報

A.DNAの構造

DNAの正式名称であるデオキシリボ核酸について説明しました。
デオキシリボース(糖)・リン酸・塩基が結合して形成されること、そしてアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種の塩基が入ることを示しました。
ヌクレオチドが結合してヌクレオチド鎖を形成し、これがねじれて二重らせん構造を作り出します。
この構造は1953年、ワトソンとクリックによって解明されました。


B.セントラルドグマ

教科書ではタンパク質合成を詳しく学んだ後にセントラルドグマについて触れます。
しかし、私の授業ではDNAから自分の体がどのようにして形成されるのか、遺伝子から形質がどう形成されるのかを生徒が自分事として捉えやすいようにDNAの構造を学んだ直後にセントラルドグマについて説明しました。
このセントラルドグマは後の授業で都度、図解しています。

授業実践の振り返り・反省

DNAが体を作る設計図であることを説明したところ、「なるほど」という反応が多く見られました。
ただ、DNAにおける「デオキシ」の意味、すなわち酸素原子が1個取れたリボースである点の説明を怠ってしまいました。
今後の授業では、RNAの構造を扱う際に、この点を含めてさらに詳しく説明します。

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文責:滝沢