【生物基礎】授業開きのときに扱う生物の多様性と共通性【授業実践備忘録】

「滝沢先生は普段どんな授業をされてるんですか?」
こういった質問を同僚から、あるいはSNS上でされることが増えて参りました。
そこで、僭越ながら私がこれまで高校で行ってきた授業内容の覚え書きを綴っていきたいと思います。
今回は生物基礎の最初の単元である「生物の多様性と共通性」について。
生物基礎という科目において、生物を「多様性」と「共通性」という2つの側面から理解していくことが学習指導要領で述べられています。
最初の単元では、生物基礎で学ぶ内容の全体像を捉えることが重要ではないかと考えています。
また、この単元は年度初めの授業開きのときに扱っています。
生徒には物事を自由に考えて発言し、「生物って面白いんだ!」と思ってもらうことを意識して授業を実践しています。

対象

高校1年生
クラスによって25〜39人というように人数に幅がある。

生徒観

正直なところ学力はあまり高くはないが、授業に対しては前向きに取り組んでいる。
授業では挙手により積極的に発言したり、活発に話し合いをしている。

教材

教科書と自作の授業プリント(ワークシートと知識の整理を兼用)

A.生物の多様性

ワーク1

1.現在、知られている生物の種類は何種類でしょうか?(答え:約190万種類)

2.なぜ、それだけの生物が地球にいるのでしょうか?あなたの考えを書き出してみましょう。
(答え:環境に適応して進化してきたから)

生徒の意見

1.190万種類という答えは出ず、100種類〜10億種類といったように、さまざまな値が出た。

2.特に中学時代からよく勉強していると思われる生徒からは「進化している」「環境に適応」といった意見が出た。

まとめ

生物の分類の基本は「種(しゅ)」であり、かけあわせて子孫を残せるかどうかで分けられるということを説明しながら、以下のように板書した。

B.生物の共通性

ワーク2

「どんな生物にもあてはまる共通点は何か」という題で、生徒に自分の意見をプリントに書き出してもらった。

生徒の意見

目・口がある 酸素を吸って呼吸をする 成長する 生きている やがて死ぬ 子孫を残す 進化する

私からの指摘

目・口があるのは動物のみ。

酸素で呼吸をしない生物もいる。

まとめ

生物の共通性としては、以前は代謝・生殖・刺激応答という3点でまとめられていたが、以下の6項目にまとめ板書した。
それぞれの項目は高校の生物で学ぶ単元でもある。

次回の授業に向けて

この授業では生物は「多様性」と「共通性」から捉えていくことを示した。
その上で、次の授業では「生物は多様でありながら、なぜ共通性をもつのか?」ということについて考えることを示した。

授業実践の振り返り・反省

生物の定義

上記のワーク1・2については、実際の授業では生徒に個々で考えてもらった後、近くの席にいる生徒どうしで意見交換をする時間を設けています。
生徒の座席の近くを回っていると「植物も生物に入るの?」といった声が生徒から聞こえてくることがあります。
どうも動物だけが生物と考えている生徒も少なからずいるようです。

代謝とエネルギー

この単元においては、エネルギーを得ることのみを強調していますが、実際の代謝には、エネルギーを使って複雑な物質を合成する「同化」と、複雑な物質を分解して、エネルギーを生み出す「異化」があります。
私自身、授業実践の後で知人からご指摘をいただいたことですが、この段階でエネルギーを生み出すことと使うことの両方の説明が必要だったのではないかと思っています。

ウイルスの扱い

私が授業で使っている出版社の教科書では、「ウイルスが生物か?」という内容が、この単元のトピックとして掲載されています。
確かに、高校の授業開きの段階で生物の分類について生徒が十分把握していれば話せるのですが、細胞の構造と機能についてきちんと学習しなければ唐突な感じがして、とっつきにくいのではないかと思うのは私だけでしょうか?

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文責:滝沢