【ブログでわかるサイエンス】#2 予防接種・ワクチンにはどんな効果があるの?【生物学】
前回に引き続き、今回も免疫の話をつらつらと。
最近はインフルエンザが全国的に猛威をふるい、学校でも出席停止が増えています。
読者の皆さんの中にも、予防接種を受けられた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は「予防接種にはどんな効果があるのか?」を、生物学の視点から解説します。
予防接種も、実は免疫のしくみをうまく利用した“科学的な病気対策”なんですよ。
獲得免疫の振り返り
前回の記事では、白血球の中の「特殊部隊」―T細胞とB細胞が、特定の病原体を倒すべき敵=「抗原」とみなして攻撃するしくみを紹介しました。
まずは、その流れを下の図で軽く振り返ってみましょう。

体液性免疫で活躍するB細胞 は、抗体をつくる抗体産生細胞に変身し、侵入してきた抗原を捕まえます。
同時に、抗原の特徴を記憶する記憶細胞にも一部が分化します。
予防接種は「記憶細胞」の働きを最大限に使う
病原体が最初に侵入し、抗体がつくられる反応を一次応答といいます。
そして同じ抗原が再び入ってきたとき、一次応答よりも短期間で大量の抗体がつくられます。
これが二次応答です。

予防接種では、弱毒化した病原体や安全な抗原(=ワクチン)を体に入れ、あらかじめ一次応答を済ませておくことができます。
すると、実際にその病気の抗原が体内へ侵入した際には、次の流れが起こり、病原体を速やかにやっつけることができるのです。
記憶細胞がすぐに反応
↓
二次応答が一気にスタート
↓
短期間で大量の抗体を産生
免疫記憶の寿命と追加接種(ブースター)
ただし、記憶細胞は万能ではなく、病原体によって“記憶の持ち”は違います。
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麻しん(はしか) → ほぼ一生
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インフルエンザ → 数ヶ月〜数年
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コロナウイルス → 数ヶ月(変異が多いため)
このため、記憶細胞が減ってきたり、ウイルスが変異して姿を変えたりするといった状況では、免疫が十分に働きにくくなります。
その際に必要なのが、免疫記憶を強化するための追加接種(ブースター)です。
今日の問い
あなたが最近打ったワクチンの“意味”を、免疫のしくみから見直すと、どんな発見がありますか?
関連記事:免疫の基礎
前回の記事はこちらから読むことができます。
【ブログでわかるサイエンス】#1 免疫のしくみの基礎・基本【生物学】
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