【生物基礎】生物の進化を通して多様性と共通性の由来を学ぶ【授業実践備忘録】

今回の授業実践備忘録は生物基礎で扱う「生物の進化と系統」について。
進化と系統の詳しい内容は上位科目の「生物」で扱いますが、ここでは「なぜ生物は多様性と共通性を合わせもつか」について考え、それが進化によるものであることを生徒に知ってもらいました。

対象

高校1年生
クラスによって25〜39人というように人数に幅がある。

生徒観

正直なところ学力はあまり高くはないが、授業に対しては前向きに取り組んでいる。
授業では挙手により積極的に発言したり、活発に話し合いをしている。

教材

教科書と自作の授業プリント(ワークシートと知識の整理を兼用)

前回までの復習

前回の授業の復習として、生物の共通点について生徒に挙げてもらった。
私の方では、生徒から挙がった意見を黒板左隅にまとめた。

生物の共通点

① 細胞からできている

② 代謝を行い、エネルギーを得ている

③ 生殖を行い、DNAを子孫に継ぐ。

④ 刺激に対して応答する

⑤ 一定の状態を保つ

⑥ 進化する

生物の進化と系統

ワーク(脊椎動物の進化)

脊椎動物を特徴ごとに区分けして表にまとめることを課題とした。
授業プリントには「脊椎動物の種類」「脊椎があるかないか」「四肢をもつかもたないか」「呼吸のしかた」「子どものふやし方」という項目に分けた表を入れ、私の方でも板書した。

生徒個々に表をつくる前に、クラス全員で脊椎動物の種類を確認し、表上段は左から魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類の順番で全生徒に穴埋めをしてもらった。
その上で、四肢・呼吸・子どものふやし方については生徒自身で考え、区分けをしてもらった。

生徒の意見

脊椎動物の分類については中学校の段階で時間をかけて取り組んでいるようで、どの生徒も中学校で学んだように整理ができていた。
ただ、両生類について、幼生は四肢がなくエラ呼吸を行い、成体になってから四肢をもち肺呼吸を行うので、区切り方で迷っていた生徒もいた。

まとめ

まずは私の方で四肢・呼吸のしかた・子どものふやし方について表を穴埋めした。

その後、表にオレンジ色で線を入れ、階段を降りるように進化が起こっていることを示した。

生物の進化にはつながりがある。
このつながりを「系統」とよび、それを樹形(トーナメント表のよう)にまとめたものを「系統樹」とよぶことを示した。

この表をもとにして系統樹を描いた。

補足(植物の進化)

ちなみに植物の分類は生物基礎の教科書には載っていないが、表と樹形図は次のようになると考えられる。

生物全体の系統樹

現在、地球上では約190万種類の生物が知られているが、大まかに分類すると「バクテリア」「アーキア」「原生生物」「植物」「菌類」「動物」となることを示した。
さらに、原生生物の中でも藻類だけは、他の原生生物と分かれ方が異なる。
また、生徒がイメージしづらいところについては、具体的な生物の例を口頭で示した。
その上で以下のように板書した。

ちなみにこの系統樹は、遺伝子の塩基配列によってできたもので「分子系統樹」とよばれている。
また、原生生物(藻類含む)・植物・菌類動物は「真核生物ドメイン」、アーキアは「アーキアドメイン」、バクテリアは「バクテリアドメイン」というふうに大きく分類される。
※分子系統樹とドメインについては、上位科目の「生物」で詳しく扱う。

また、この段階でウイルスが生物に分類されないことにも触れた。

授業実践の振り返り・反省

植物の分類も教えたかった

生物基礎の科目の特質上、ヒトにまつわる事柄を扱うことが主となるのですが、脊椎動物の分類だけでなく、植物の分類も授業で扱いたかったというのが本音です。
植物の分類については中学1年でもすでに学んでいます。
ただ、生物の多様性を扱うということと、後に学ぶ植生・バイオーム・生態系との関連性を考えると、植物の種類と特徴をこの段階で復習することが必要だったのではないかと思っています。

「原核生物」と「真核生物」

私が授業で使っている出版社の教科書では、バクテリアとアーキアが「原核生物」に分類されると唐突に出てきています。
確かに、中学校の段階で細胞の中に書くが含まれていることは学んでいるのでわかるはずだと執筆者側は考えているのでしょう。
しかし、生徒によっては核というものが細胞の中にあることを忘れていて、真核細胞と原核細胞の違いを詳しく説明しないままに教えても、ピンときていない様子が伺えました。

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文責:滝沢