【ブログでわかるサイエンス】#1 免疫のしくみの基礎・基本【生物学】
ここ最近、全国的にインフルエンザウイルスが流行し、学校でも欠席・出席停止が増えています。
インフルエンザにかかると、出校停止はおよそ1週間。
「なんで1週間も休まないといけないの?」と思った方もいるでしょう。
実は、インフルエンザウイルスを“完全に”やっつけるには、体内で約1週間かかるのです。
今回は、その理由となる「免疫のしくみ」を、高校の生物基礎で学ぶ流れに沿ってわかりやすく説明していきます。
病気から体を守る3つのしくみ
病気のもと=病原体。
これらから身を守るしくみは、大きく3段階あります。
① 病原体を外でブロック(物理的・化学的防御)
② 怪しいヤツをまず取り締まる(自然免疫)
③ 特定の敵を“抗原”とみなして戦う(獲得免疫)
授業でも使っている例えでいうとこんな感じ。
① 皮膚の壁 → 城の“防壁”
② 自然免疫 → 町のお巡りさん(即対応)
③ 獲得免疫 → SWATのような特殊部隊(遅いが強い)
ここから詳しく見ていきましょう。
物理的・化学的な生体防御
病原体を「体に入れない」ための第一関門です。
代表例は次のとおりです。
◆皮膚の角質層によるバリア
◆気管の粘膜や繊毛(病原菌・ウイルスを外へ押し出す)
◆粘液の分泌
◆胃酸などの強い酸性や、唾液・涙などに含まれる酵素も“化学的防御”
ここを突破されると、今度は体の中での戦いが始まります。
② 自然免疫(町のお巡りさんチーム)
皮膚の防壁をすり抜けて体内へ入ってきた病原体に最初に対応するのが自然免疫。
こちらは“相手が誰であろうと”すぐに動きます。
登場する主な食細胞は次の3つ。
◆好中球
◆マクロファージ
◆樹状細胞
これらは、病原体を区別せず、見つけ次第食作用で取り締まります。
しかし、病原体の数が多いと、マクロファージは応援を要請。
好中球やマクロファージが増員されます。
このとき血管が拡張し、血流が増すため、腫れ・赤み・痛み・発熱といった“炎症”が起こります。
さらに自然免疫には、リンパ球の一種である NK(ナチュラルキラー)細胞 が登場します。
これは“特殊任務班”で、感染細胞やがん細胞を狙い撃ちします。

③ 獲得免疫(SWATの特殊部隊)
自然免疫が戦っている最中、樹状細胞は病原体の一部を“証拠”としてリンパ管に持ち込みます。
ここでリンパ球の一種であるT細胞が情報を受け取り、次の二手に分化します。
◆ヘルパーT細胞(司令官)
◆キラーT細胞(攻撃部隊)
ヘルパーT細胞
獲得免疫の総司令官として、各部隊へ指示を出します。
-
キラーT細胞への攻撃命令
-
B細胞への抗体生産依頼
キラーT細胞
感染した細胞=“ゾンビ細胞”を直接攻撃します。
B細胞 → 抗体産生細胞へ
ヘルパーT細胞に活性化されたB細胞は、抗原(特定の敵)専用の“抗体”を大量生産します。
抗体は、特定の敵だけを一網打尽。
捕まった病原体は抗原抗体複合体となって処理され、マクロファージや好中球が掃除します。


ここまでに1週間かかる
①自然免疫での初動+②獲得免疫の準備+③抗原抗体反応+④感染細胞の処理
これら全てのプロセスに約1週間かかるため、インフルエンザの出校停止が1週間なのは“免疫の都合”なのです。
記憶細胞ができる
T細胞やB細胞の一部は“記憶細胞”になります。
これにより、次に同じ病原体が入ってきた際には、圧倒的なスピードで対処できます。
これがワクチンの原理にもつながります。
(次回ブログで詳しく解説します!)
今日の問い
あなたの今日の体調を、免疫の視点で眺めると何が見えてきますか?
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