【ブログでわかるサイエンス】#11 原子の構造【化学/物理学/地球科学】

2025年12月11日に「大人の化学ゼミナール」のYouTubeライブ配信を行いました。
この日のテーマは、元素と原子の導入でした。
前回の「ブログでわかるサイエンス #10 元素と元素記号」に引き続き、今回の記事も12月11日のライブ配信の復習として、原子の構造について解説していきたいと思います。

原子の構造

原子は、中心に原子核があり、その周りを電子が運動している構造をとっています。
原子核は、プラスの電気を帯びた陽子と、電気を帯びていない中性子が集まってできており、原子の質量のほとんどはこの原子核が担っています。
一方、電子はマイナスの電気を帯びていますが、その質量は陽子や中性子の約 1/1840 と非常に小さく、質量への寄与はほとんどありません。

元素記号を使って原子の構造を表す

先ほど、元素は「原子の構造の違いによって分類される」と述べました。
具体的には、陽子の数(=原子番号)が元素ごとに異なります。
元素は全部で118種類もあるため、毎回、陽子・中性子・電子を一つずつ図で描くのは大変です。
そこで、元素記号と数字を使って、原子を構成する粒子の数が分かるように表します。

上の板書画像に示した、ヘリウム(He)原子を例に考えてみましょう。

  • 元素記号の左下の「2」は原子番号で、陽子の数を表します → 原子では、陽子の数=電子の数です

  • 元素記号の左上の「4」は質量数で、陽子の数+中性子の数を表しています

このように、元素記号を見るだけで、原子の中身が簡単に読み取れるようになっています。

原子の誕生

現在の宇宙は、約138億年前に誕生したと考えられています。
誕生直後の宇宙では、すべての物質が極めて高密度・高温の状態で存在していたとされ、この状態を火の玉宇宙(ビッグバン)と呼びます。
宇宙が膨張し、冷えていく過程で、原子は次のような段階を経て誕生したと考えられています。

  • ビッグバンから約1/10万秒後
    宇宙は非常に高温で、陽子・中性子・電子はバラバラに存在していました。

  • 約3分後
    宇宙の温度が約10億Kまで下がり、
    陽子と中性子が結合して、ヘリウム(He)の原子核が形成されました。

  • 約38万年後
    原子核の周りを電子が運動するようになり、水素原子やヘリウム原子が完成しました。

このとき、それまで物質に遮られて進めなかった光が自由に進めるようになり、「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれる現象が起こったとされています。

とりあえずここで一息

高校の化学や物理では「原子の構造」を中心に学びますが、地学では「宇宙の誕生」と結びつけて原子の誕生を扱います。
これらを一つの流れとしてまとめて考えてみると、原子という存在が、ぐっと立体的に見えてくるのではないでしょうか。
実際、大人の化学ゼミナールのライブ配信では、宇宙に興味をお持ちの視聴者の方からも好評をいただきました。

2025年12月25日のライブ配信では、原子の構造と深く関係する同位体と放射線をテーマに扱いました。
次回の「ブログでわかるサイエンス」では、同位体と放射線の基礎について、できるだけニュートラルな視点で解説していく予定です。
12月25日のライブ配信をご覧になれなかった方にも、参考にしていただければ幸いです。

今日の問い

私たちの体や身の回りの物質をつくっている原子は、いったい「いつ・どこで」生まれた存在なのでしょうか?

YouTubeライブ「大人の化学ゼミナール」

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