【高校生物基礎】体液の循環【授業図鑑】

ヒトの体で恒常性が保たれるためには、体液が全身を循環し、その成分が調節されることが欠かせません。
血液は酸素や栄養分などを細胞へ運び、二酸化炭素や老廃物を肺や腎臓などへ運びます。
血液循環は中学校2年の理科でも学びますが、高校の生物基礎では、血液・組織液・リンパ液のつながりや、血液が組織へ酸素を供給するしくみを理解する土台になります。
今回の記事では、心臓と血管の構造を確認したうえで、肺循環と体循環、閉鎖血管系と開放血管系の違いを、授業で用いた図と板書から整理します。
ヒトの心臓
ヒトの心臓は、右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋に分かれた「2心房2心室」の構造をしています。
- 右心房:上大静脈・下大静脈から血液が流れ込む
- 右心室:肺動脈へ血液を送り出す
- 左心房:肺静脈から血液が流れ込む
- 左心室:大動脈へ血液を送り出す

左心室は全身へ血液を送り出すため、右心室よりも厚い筋肉の壁をもっています。
「どの部屋に、どの血管がつながるか」を血液の流れる順に追うと、名称を暗記するだけでなく、心臓のはたらきと結び付けて理解できます。
動脈・静脈・毛細血管
血管は、血液が流れる向きと構造から、動脈・静脈・毛細血管に分けられます。
動脈
動脈は、心臓から送り出された血液を運ぶ血管です。
高い圧力に耐えられるよう、平滑筋や弾性線維を含む厚い血管壁をもちます。
静脈
静脈は、血液を心臓へ戻す血管です。
動脈より血管壁が薄く、内腔が広いという特徴があります。
特に手足の静脈には、血液の逆流を防ぐ弁がみられます。
毛細血管
毛細血管の壁は、基本的に1層の内皮細胞からできています。
この薄い壁を隔てて、血液と組織との間で酸素、栄養分、二酸化炭素、老廃物などがやり取りされます。
血しょうの一部は毛細血管からしみ出して組織液となり、細胞の周囲を満たします。
組織液の多くは毛細血管へ戻り、一部はリンパ管に入ってリンパ液になります。
血液とリンパ液の流れ
血液循環の複雑な図を最初から細部まで読もうとすると、血管名の多さに戸惑う生徒もいます。
そこで、まずは血液循環を次の2つに分けて捉えます。
- 肺循環:心臓 → 肺 → 心臓
- 体循環:心臓 → 全身 → 心臓
この2つは独立しているのではなく、連続した一つの循環としてつながっています。

板書では、肺循環と体循環を左右に分け、静脈血が流れる経路と動脈血が流れる経路を上下に分けて示しました。
先に全体の道筋をつかませ、その後に心臓の4つの部屋や血管名を当てはめると、流れを整理しやすくなります。

ここで区別したいのが、動脈・静脈と動脈血・静脈血です。
動脈と静脈は心臓に対する血液の流れる向きで決まり、動脈血と静脈血は酸素を多く含むかどうかで区別します。
そのため、肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れます。
名前が似ていても、分類の基準が異なることがポイントです。
リンパ液は、組織や小腸などからリンパ管に入り、リンパ節を通過しながら運ばれます。
最終的には鎖骨下静脈付近で静脈血に合流し、再び血液循環へ戻ります。
閉鎖血管系と開放血管系
ヒトを含む脊椎動物では、血液は心臓と血管でつくられた閉じた経路を流れます。
血液が血管外へ出て器官を直接ひたすことはなく、毛細血管の壁を隔てて物質交換を行います。
このしくみを閉鎖血管系といいます。
環形動物や頭足類にもみられます。
一方、節足動物や多くの軟体動物では、心臓から送り出された血リンパが動脈の末端から体腔(血体腔)へ流れ出し、器官を直接ひたします。
その後、血リンパは体腔内を移動し、心臓へ戻ります。
このしくみが開放血管系です。

比較図では流れを捉えやすくするため、心臓へ戻る側を「静脈」として模式的に示しています。
ただし、節足動物では一般に、血リンパは体腔から心門を通って心臓内へ戻ります。
「閉鎖血管系には毛細血管があり、血液は血管内を流れる」「開放血管系では血リンパが体腔へ流れ出し、器官を直接ひたす」という違いを押さえると、両者を比較しやすくなります。

探究への手がかり―運動後の脈拍を調べよう
循環のはたらきは、脈拍を測ることで身近に調べられます。例えば、次の問いから始められます。
「運動の強さによって、脈拍が安静時に戻るまでの時間はどう変わるだろうか」
- いすに座って数分間安静にし、30秒間の脈拍を2回測る。
- 安全な場所で、一定時間の足踏み運動を行う。
- 運動直後から1分ごとに脈拍を測り、安静時に近づくまで記録する。
- 足踏みのテンポだけを変えて同じ測定を行い、折れ線グラフで比較する。
運動時間、測定姿勢、測定時刻などの条件をそろえ、同じ条件で複数回測ることがポイントです。
体調が優れないときは実施せず、過度な運動や他者との競争は避けます。
結果を健康状態の診断には使わず、「どの条件を変え、何を測るか」を考える小さな探究として取り組みましょう。
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