『気になる』『困る』から始まる探究(1)〜探究の入り口はいつも身近にある〜

高校には「総合的な探究の時間」があります。
また、小中学校でも「総合的な学習の時間」などを通して、自分で課題を見つけ、調べ、考える学習が行われています。

その一方で、高校の先生方や生徒の皆さんから、こんな声を聞くことがあります。

「探究学習で何をすればいいかわからない」
「探究学習には、どんな意味があるの?」
「探究学習がしんどい」

私は以前勤めていた学校で、総合学習や探究学習の企画・運営に関わってきました。
その経験をもとに、このシリーズでは、私自身が考える探究学習の進め方や意義をお伝えします。

探究学習で困っている先生方や生徒の皆さんにとって、取り組み方を考えるヒントになれば幸いです。

探究のテーマが見つからない

全国の学校では、社会問題や地域の課題、専門的な研究テーマなど、さまざまな探究活動が行われています。
ただ、学校全体で大きなテーマが決まっていても、「自分は何を調べればいいのだろう」と迷うことがあるでしょう。
自分の関心とのつながりが見えないと、「課題だから、やらなければ」という気持ちになりがちです。
また、調べた情報をまとめたところで、次に何をすればよいかわからなくなることもあります。

調べることは、探究の大切な一歩です。
そこからさらに、「自分は何を知りたいのか」「どんなことを確かめたいのか」を考えることで、探究が深まっていきます。

「気になる」「困る」が出発点になる

探究は、必ずしも大きな社会問題から始める必要はありません。

身の回りの「気になること」や「困っていること」から始めると、自分にとって取り組みやすいテーマが見つかると思います。

たとえば、こんなことです。

  • 同じ日に植えた植物なのに、育ち方が違うのはなぜだろう。
  • 教室の中で、暑く感じる場所と寒く感じる場所があるのはなぜだろう。
  • 雨の日に、靴がぬれにくくなる方法はないだろうか。

また、好きなことについて、すでに調べている人もいるでしょう。
その場合は、「まだわからないことは何か」「もっと確かめてみたいことは何か」と考えてみてください。

自分の興味が、誰かの困りごとの解決につながることもあります。
でも、最初から役に立つことを目指さなくてもかまいません。
「好きだから、もっと知りたい」という気持ちも、探究の入り口になります。

自分の疑問を、自分の言葉にする

では、探究学習では何が大切なのでしょうか。
私は、学校で学んだ知識や考え方を使いながら、まだ答えがわからないことを「自分に関わること」として考える姿勢が大切だと思います。
どんな小さなテーマでもかまいません。
まずは、次のことを自分の言葉で書き出してみましょう。

  • 何が気になっているのか。
  • どんなときに困っているのか。
  • なぜ、それを知りたいと思ったのか。
  • 今わかっていることと、まだわからないことは何か。

きれいな文章にする必要はありません。
短い言葉や箇条書きでも大丈夫です。
書いてみると、ぼんやりしていた疑問が少しずつはっきりしてきます。
それが、探究を進める手がかりになります。

まずは、すでにわかっていることを調べる

自分が気になっていることは、ほかの人も疑問に思い、すでに調べているかもしれません。
本やインターネットを使って、どんなことがわかっているのかを調べてみましょう。
そのときは、誰が発信した情報なのか、何を根拠にしているのかも確認します。
参考にした本の名前やウェブページのURLも記録しておくと、後で振り返りやすくなります。

調べるうちに、疑問が解けることもあれば、新しい疑問が生まれることもあります。

「この説明は、自分の場合にも当てはまるのだろうか」
「条件を変えたら、どうなるのだろうか」

こうした疑問から、さらに確かめたいことが見えてきます。

実験や観察で確かめる

理科に関するテーマなら、実験や観察で確かめる方法があります。
たとえば、植物の育ち方が気になったら、光の当たり方や水の量などに注目できます。
何の違いを比べたいのかを決め、そのほかの条件はできるだけそろえて調べます。

始める前には、「何を確かめたいのか」「どんな方法なら確かめられそうか」を考えましょう。
安全に行うために、必要に応じて先生や詳しい人に相談することも大切です。

実験や観察の後は、次の3つを整理してみてください。

  • 実際に、どんな結果が出たのか。
  • その結果から、何が言えそうか。
  • まだわからないことや、次に確かめたいことは何か。

予想と違う結果も、大切な手がかりです。
なぜ違ったのかを考えることで、次の問いにつながります。

テーマによっては、実験以外にも、人に話を聞く、現場を観察する、資料や記録を比べるなどの方法があります。
知りたいことに合った方法を考えていきましょう。

小さな疑問から、一歩を踏み出そう

探究の入り口は、いつも身近にあります。

「気になる」「困る」「もっと知りたい」。
そんな気持ちを言葉にして、すでにわかっていることを調べ、自分でも確かめてみる。
その過程で、新しい疑問や、自分なりの考えが生まれてきます。

最初から大きなテーマや、はっきりした答えを用意する必要はありません。
まずは、身の回りの「気になること」を一つ、書き出してみてください。

その小さな一歩が、探究の始まりになります。

SFB科学探究塾について

SFB科学探究塾では、小学生・中学生・高校生の探究学習を個別にサポートしています。

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