『気になる』『困る』から始まる探究(2)〜新聞部の経験から考える探究〜

私はこれまで、探究の授業づくりについて、さまざまな情報を集めてきました。
その一方で、自分の経験を振り返ると、高校時代の部活動でも、探究につながることを自然に行っていたのではないかと思います。
それが、新聞部での活動です。
「自分が知りたいことを調べ、考え、自分の言葉で伝える」。
探究の出発点は、こうした身近な活動の中にもあるのではないでしょうか。
今回は、教育理論や学習指導要領を解説するのではなく、私自身の経験をもとに、新聞づくりと探究のつながりを考えてみます。
高校時代の新聞部でしていたこと
私は高校時代、新聞部に所属していました。
授業終了後は毎日のように記事を書き、年に数回、学校新聞を発行していました。
新聞は毎回2〜4ページ。
生徒会や部活動の報告、意見投稿、コラムなどを掲載し、一般の新聞に近い紙面をつくっていました。
校内だけでなく、ほかの高校や大学、ラジオ局などへ取材に行くこともありました。
今振り返ると、取材の進め方や礼儀が十分でなかった場面もあったと思います。
活動を支えてくださった顧問の先生や、取材に応じてくださった皆さまには、感謝しています。
当時は「探究をしている」と意識していたわけではありません。
それでも、新聞をつくる過程には、探究につながる経験が数多くありました。
新聞づくりの6つのステップ
1.自分が知りたいことから、テーマを決める
記事のテーマは、顧問の先生から助言をいただくこともありましたが、基本的には自分で決めていました。
出発点になったのは、当時の自分が気になっていたことや、疑問に思っていたことです。
「これについて知りたい」
「この話を、ほかの人にも伝えたい」
そんな気持ちから、何を調べ、どのような記事を書くかを考えていました。
2.紙面のレイアウトと役割分担を考える
学校新聞には歴史があり、一般の新聞のように、記事や写真を読みやすく配置することを大切にしていました。
紙面のレイアウトを決めたら、誰がどの記事を担当するかを部員どうしで分担しました。
一人で好きなことを書くだけでは、新聞は完成しません。
それぞれの記事を、一つの紙面にまとめる必要がありました。
3.資料を調べ、取材する
記事を書く前には、過去の新聞記事や本などを調べ、テーマについての予備知識を得ました。
必要に応じて、校内や校外で取材も行いました。取材の依頼も、基本的には部員自身で進めていました。
今思えば、顧問の先生が陰で支えてくださっていた場面もあったのかもしれません。
うまくいくことばかりではなく、失敗して注意を受けることもありました。
相手に何をお願いしたいのかを伝えること、相手の時間や都合を考えること。
取材は、そうしたマナーや礼儀を学ぶ機会にもなりました。
4.調べたことを、文章にする
記事には、取材で得た情報を中心に伝えるものもあれば、自分の考えを交えて書くものもありました。
当時、私たちは記事を手書きで作成していました。
何度も書き直し、顧問の先生に確認していただく作業を繰り返していました。
調べて理解したつもりでも、文章にしようとすると、うまく説明できないことがあります。
「自分がわかること」と「相手に伝わること」は、同じではありません。
記事を書き直す経験は、読み手に伝わるように考えを整理する練習でもあったと思います。
根気よく指導してくださった先生方には、今でも感謝しています。
5.新聞を印刷し、読者に届ける
記事や写真がそろったら、印刷所に依頼して新聞を発行しました。
完成した新聞はクラスごとに仕分けし、生徒や先生方に配布しました。取材先には、お礼状を添えて郵送しました。
新聞づくりは、原稿を書いたところでは終わりません。
読者に届け、取材に協力してくださった方に報告するところまでが活動でした。
6.振り返り、次の新聞に生かす
発行後は、部員全員で反省会を開きました。
活動を振り返り、次に改善したいことを話し合いました。
一度完成させて終わるのではなく、経験を次の活動につなげる。
この繰り返しも、探究に通じる部分だと感じます。
うまくいかなかった経験から学んだこと
新聞づくりには、失敗もありました。
補習やほかの予定が重なり、部員全員が集まれず、作業が遅れることがありました。
発行が1か月以上遅れたこともあります。
今考えると、計画性が足りなかったことに加え、「何のために新聞を発行するのか」という目的を、部員どうしで十分に共有できていなかったのだと思います。
高校2年生で副部長になってからも、私はほかの部員の予定を考えず、自分の都合を優先してしまうことがありました。
その経験から、チームで活動するときには、相手の事情を聞き、一緒に進め方を考えることが大切だと学びました。
何かを調べて成果をまとめるだけでなく、人と協力して進める難しさを知ることも、新聞部で得た大切な学びです。
新聞づくりと探究は、どこでつながるのか
新聞づくりを振り返ると、探究と重なる流れが見えてきます。
- 気になることから、テーマや問いを見つける。
- 資料を調べ、人に話を聞く。
- 集めた情報を整理し、自分の考えを深める。
- 読み手に伝わる形にまとめる。
- 活動を振り返り、次に生かす。
ただ、新聞をつくれば、それだけで探究になるというわけではありません。
大切なのは、その過程で「何を知りたいのか」「その説明にはどんな根拠があるのか」「まだわからないことは何か」を考えることだと思います。
これは、新聞部に限りません。
教科の学習やほかの部活動、学校行事、日常の趣味にも、探究につながる経験はあるはずです。
これまで取り組んだ活動を思い返すと、自分で疑問を持ち、調べたり、人に聞いたりして、考えを深めた経験が見つかるかもしれません。
すでに行っている活動を、問いや根拠、振り返りを意識して見直すことも、探究への一歩になります。
まとめ:これまでの経験にも、探究の種がある
高校時代の新聞部では、自分が知りたいことを調べ、取材し、文章にまとめ、読者に届けていました。
その過程には、探究につながる経験がありました。
また、計画どおりに進まなかったことや、人との協力で失敗したことも、自分の行動を見直すきっかけになりました。
探究を始めるとき、まったく新しい活動を一から探す必要はありません。
これまでの学習や部活動、日常の経験の中に、気になっていたことや、もっと知りたかったことがあるかもしれません。
そこから問いを見つけ、根拠を確かめ、自分の言葉で伝えてみる。
そんな取り組み方を、私は大切にしたいと思っています。
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