授業開きで何を話しますか?(後編)

多くの学校では新年度の入学式・始業式が行われていることかと思います。
その後、新年度の準備に関連した行事をした後、授業が始まるところが多いではないでしょうか。
今回は、新年度の授業開き(最初の授業)で話すことについて、一緒に考えていきましょう。

私は新年度の授業開きで、大きく分けると2つのテーマについて話をします。
1つは全クラスを対象に、授業の進め方とルール・マナーについて。
そしてもう1つは、(初対面の生徒ばかりのクラスで)自己紹介です。
今回の記事では、前回に引き続き、後者の自己紹介について綴っていきます。

私がいつも初対面の生徒に自己紹介する時に伝えていることは、次の3つです。
1つ目は私自身、中学校から高校の初めまでは理科がそんなにできなかったことです。
というよりは、(あまり大きな声では言えませんが)中学校1年の頃にテストで10点を取ったこともあります。
(もちろん100点満点のテストでですよ:笑)
ひょっとしたら、この記事をご覧になっている方の中にも、私が理科のテストで10点だったなんてことがあるの?!と思われているかもしれません。
実際に生徒に話したら、生徒の中でも「本当に?!」と驚くような様子が見られることがありますが、ここで私に親近感が湧いたという生徒もいたようです。

2つ目は、私が理科の先生の道に進んだ経緯について。
高校1年まで理科ができなかった私は、2年生になったら文系クラスへ進み、国公立大学で歴史を専攻しようと考えていました。
ところが、文系・理系を決める担任面談で、担任の先生(数学科)から言われた一言。

「国公立大学に行きたかったら、2年では理系クラス行っとけ」

この一言で私の人生は大きく狂ってしまいました(笑)
確かに、国公立大学対策用のカリキュラムになっていたという意味では理系に行ったことは正解でした。
この数学の先生に3年間ずっと担任をしていただいたこともラッキーでした。
何より良かったのは、理系で化学を履修していましたが、酸化・還元という難しい単元について、パズルが解けるかのように完璧に理解できたという快感が得られたことでした。
それ以来化学にハマり、数学と化学の勉強ばかりやっていた高校時代でした(笑)
その後大学に入学してからは、生物学にもふれ、微生物の働きで生ゴミが資源化できることに「スゲー!!」と感動し、教員になってからも生物を学び直し、生物の授業もできるようになったわけです。

最後3つ目は、生徒に対して「理科を無理して好きになる必要はない」ということです。
確かに、私の授業を通して理科(化学・生物)が好きになってくれればいいなあという思いはあります。
ですが、生徒も先生も1人の人間、好き嫌いは個々で違います。
考えてみてください。
例えば、タイプでもない異性の有名人を今すぐ好きになれって言われて、好きになれますか?
無理ですよね。
勉強もそれと一緒だと思います。
理科だって無理して好きになろうなんて思わなくて構わない。
しかし、毎回の授業で何か一つ「これが面白かった!」「こういうことを学べた!」という実感を得てほしい。
こういったことを生徒には伝えています。

まあ、この長文をご覧になって「何を言ってんだ、お前は?!」と辟易されている方も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、こうした話をしてからは生徒は身構えず、ゆったりと授業を受けていいんだという気持ちになり、授業でも積極的に発言する生徒が多くなったと思います。
2025年度も先生方におかれましては山あり谷ありの1年になるかと思います。
2025年度の先生方の授業がよりよいものとなるよう、この記事が一助となれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。