2023.12.20 大人の科学談義・スピンオフ「ゲームでわかる熱力学」振り返り
2023年12月20日、愛知県名古屋市千種区のコワーキングスペース・タスクールで久々に大人の科学談義を開催しました。
タスクールで開催するのは久々ということで、この日は「熱力学ワーカーズ」というボードゲームを使って、熱力学について学ぶスピンオフ企画を実施しました。
熱力学ワーカーズ
このゲームは以前私がクラウドファンディングで入手したもので、サイコロを振りながらエンジンなどの「系(システム)」の圧力や体積を変え、80J(ジュール)の「仕事」を最も早く得た者が勝ちというルールになっています。
前提となる熱力学の知識
熱力学とは熱エネルギーにより効率よく動力を発生させるための原理や、物体の運動と熱との関わりなどについて考える学問です。
ただ、熱力学といっても物体の運動や力などの現象にとどまらず、地球環境について考えるところにも応用されています。
このゲームは高校物理で学ぶ熱力学の内容に関連しています。
例えば、エンジンを動かす際、燃料を燃やして生じた気体の圧縮・膨張させることにより、中のピストンが動きます。
このピストンが動くことが「仕事」に当たります。
ちなみに仕事は「J(ジュール)」という単位で表されます。
ただその際、外部の温度やエンジン内の圧力が変化することも伴ってきます。
気体の圧力と体積は反比例の関係にあります。
体積を一定にした上で気体の温度を上げると、それに比例して圧力も上昇します。(定積変化)
圧力を一定にして気体の体積を変化させると、気体の体積が変化した分だけ物体が移動します。
この際、気体は物体に力を加えて移動させているので、仕事をしたことになりますが、同じ量だけ体積を変化させるとき、圧力が高い方が多くの仕事をします。(定圧変化)
熱力学ワーカーズに取り組む際、こうした関係を応用し、大きな仕事を早く得るようにするにはどうすればよいかを考えていきます。
ゲームの流れ
ゲームの冒頭で、プレイヤーは4個のコマ(「系」)と3枚のカードをもっています。
ただ、プレイヤーの間でもっているJ(ジュール)が異なります。
また、ゲーム開始からプレイヤー1人につき3回ゴールに達成するまでは、上げられる圧力が最大4Pa(パスカル)までとなります。
その後は6Paまで上げることができます。
このゲームを進める間、チャンスカードの購入・使用により、盤上にある自分の系を一度に多く進めたり、他のプレイヤーの系を外したり、移動させたりすることもできます。
私達も実際にこのゲームを行いましたが、最初は体積を一定にしたまま圧力を上げ、一度に多くの仕事を得ることが勝つためのコツなのではないかと思いました。