2023.3.19 朝日カルチャーセンター講座〜水素は地球を救う?〜

1ヶ月ぶりの朝日カルチャーセンターでの単発講座
2名の方に受講していただきました。
今回は水素をテーマに、その性質とエネルギーとの関わりについて学びました。
そのダイジェストをつらつらと。

水素の性質

水素の性質については高校化学の教科書で以下のように説明されています。
実はこれらのことがエネルギーや健康との関係を考える軸になっています。

◆空気中では単体として単独で存在しない

◆無色・無臭

◆水に溶けにくい

◆すべての気体の中で最も軽い

◆還元剤となる

◆1gあたりで生じる熱エネルギー・電気エネルギーが大きい

水素の製法

高校化学の教科書には載せられていない方法もかなりあります。
水素は空気中ではほとんど存在しないので、さまざまな物質を化学反応して産出します。

◆イオン化傾向の多い金属と塩酸あるいは希硫酸(薄い硫酸)と反応させる

◆水の電気分解(電解)

◆高温・高圧のもとで、石油や天然ガスに含まれるメタンと水蒸気を反応させる(水蒸気改質)

◆石炭をガス化して、酸素や水蒸気と反応させる

◆微生物が有機物を発酵させて生み出す(水素発酵)

今回の講座では、希硫酸と水酸化ナトリウム水溶液を使って、水の電気分解の実験を行いました。

水素はクリーンエネルギー?

現在の産業では石油・石炭・天然ガス(まとめて化石燃料)が欠かせません。
これらを燃焼させてできた熱エネルギーは、発電や自動車の運転などに活かされますが、排熱や排出物が地球や生命に対して有害な作用をもたらしています。
そういったことが起こらないよう、水素を利用してエネルギーを生む装置として、燃料電池や水素自動車などの開発が現在進められています。
燃料電池は水素と酸素を反応させながら電気エネルギーを生み出す装置です。
しかも、放電した後は、外部から電気を流すことによってもとの状態に戻ります。
ただ、その外部から流した電気というのが化石燃料を燃やしてできる熱エネルギーという場合もあります。
それではクリーンエネルギーと呼べないのではないか?ということで、風力発電・太陽光発電がその代わりを担えるような技術開発が進んでいるようです。
また、燃料電池は火力発電に比べて、原料から電気エネルギーを生み出す効率が低いので、広く実用化されていない様子です。

水素水

最近の健康ブームで「水素水」がもてはやされていますが、これは生体内に有害とされる「活性酸素」を除去する効果があるからだと言われています。
しかし、水素自体が水に溶けにくいということと、水素水の製造方法によっては水素以外の有害な物質も含まれているのではないかとも考えられます。

終わりに

水素が健康維持やクリーンエネルギーの役割を担えるかどうかについては、目下研究段階にあるとのこと。
細かい研究を積み重ねていかなければ結論が出せないというのが現状のようです。
ただ、高校レベルの理科の知識や考え方を身につけているだけでも、こうした不透明・不確実な問題を考え易くなるのではないか?
こんなことを体感してもらうために、この講座を実施致しました。
未知の事柄や反省点は山程ございます。
それでも受講者の皆様が個々で、主体的に考えられるようになることを願っている次第です。

 

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